日本語と英語が混在する投稿規定の論文を作成する
主に和雑誌に論文を投稿する際、日本語論文だけでなく英語論文を引用することがあります。その場合、レファレンスリストに日本語と英語が混在することになります。
EndNoteは、例えばレファレンスリストに記載する著者名を途中で省略するとき”et al.”はもちろん”他”などの日本語でも出力することが可能です。その設定を行うのがアウトプットスタイル(以下スタイルと記載)なのですが、1つのスタイルで設定できる省略表記は1つのみです。よって、日本語文献用と英語文献用の2つのスタイルを用意する必要があります。
また、1つのWord 文書に一度に適用できるスタイルは1つだけです。そのため、作成したそれぞれのスタイルを適用させたWord文書を2つ作成し、EndNoteとの連携を切ったあとコピー&ペーストで1つにまとめる必要があります。
本稿では日本語と英語が混在する投稿規定の論文の作成方法を説明します。
- 投稿規定の例と作業概要
- Step1.日本語用アウトプットスタイルを作成する
- Step2.日本語用アウトプットスタイルを適用した論文を作成
- Step3.英語用アウトプットスタイルを作成する
- Step4.英語用アウトプットスタイルを適用した論文を作成
- Step5.各Wordファイルからフィールドコードを削除する
- Step6.2つのWordファイルを統合する
- 注意:日本語著者の出力について
投稿規定の例と作業概要
以下のような投稿規定があるとします。
投稿規定例:
●本文中の引用表記・参考文献リストに記載する著者情報は、3名までの場合は全員記載する。4名以上の場合は 3名までを記載し、残りは「他」または et al. と省略する。
◇記載例
(佐藤・鈴木・山田他, 1990)
(Anderson, Tyler, Perry et al., 1993)
この場合、以下のような作業が必要です。
[日本語文献の場合]
・著者と著者の間を「・」記号で区切る。
・著者の記載を省略する場合は「他」を使用
[英語文献の場合]
・著者と著者の間を「, 」記号で区切る。
・著者の記載を省略する場合は「et al.」を使用
EndNoteのアウトプットスタイルは著者を区切る記号や、著者の記載を省略する際に出力する文言を1つのスタイルにつき1パターンしか設定できません。また、1つのWordファイルで適用できるアウトプットスタイルは1つのみです。そのため、下記の作業が必要になります。
- 日本語・英語の各パターンに対応したアウトプットスタイルを作成
- EndNoteからの引用を含め執筆完了したWordファイルをコピーして2つ用意
- 各Wordファイルにて、用意した2つのアウトプットスタイルをそれぞれ適用
- 各WordファイルでEndNoteとの連携を切り、片方のWordファイルにもう片方のWordファイルの内容を統合する。
Step 1. 日本語用アウトプットスタイルを作成する
-
編集したいアウトプットスタイルの編集画面を表示
- (EndNote 20 以上) メニューバーの [Tools] → [Output Styles] を選択
(EndNote X9 以下) メニューバーの [Edit] → [Output Styles] を選択 - [Open Style Manager] を選択
編集したいアウトプットスタイルの名前の部分をダブルクリック
- (EndNote 20 以上) メニューバーの [Tools] → [Output Styles] を選択
-
[Citations]の下の[Author Lists]と[Bibliography]の下の[Author Lists]をそれぞれ選択し、日本語文献用に著者と著者の間に使用する記号、著者を省略する際に使用する文言を設定
-
[Bibliography] の [Author Name] を選択し、著者の名前を「姓 名」の順に、[Initials]を[Full Name]にしイニシャル化せずに出力するよう設定
-
メニューバーの [File] → [Save As] を選択して名前を付けて保存。
※日本語用スタイルであることが分かるよう名前を付けることを推奨します。
スタイルの編集画面について
- [Citations] の下の項目で本文中の引用表記を設定し、[Bibliography] の下の項目で文献リスト上の表記を設定します。
- [Bibliography] の下の [Templates] で、Reference Type ごとの出力項目、出力順、フォント設定等を行います。必要に応じて編集してください。
アウトプットスタイルの編集に関する詳細は、シリアル番号登録ユーザー様にご提供している日本語操作ガイドの該当の章をご参照ください
日本語操作ガイドのダウンロードはこちらから
▼「シリアル番号登録、各種ダウンロード」
Step 2. 日本語用アウトプットスタイルを適用した論文を作成
※事前に Word ファイルのコピーを作成しておいてください。
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コピーしたWordファイルのうち片方を開く
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Word上の[EndNote (Ver.)]メニュー内の”Style”欄にて、Step 1で作成したアウトプットスタイルを選択する。
※”Style”欄の選択肢に表示されない場合は[Select Another Style]を選択し、出現した画面から選択してください。 -
日本語用アウトプットスタイルを適用した論文が完成します。この時点で英語論文の出力が正しくない点は無視してください。
Step 3. 英語用アウトプットスタイルを作成する
-
Step 1 で保存した日本語用アウトプットスタイルの編集画面を表示
▼編集画面の開き方はこちら -
2) メニューバーの [File] → [Save As] を選択して名前を付けて保存
※英語用スタイルであることが分かるよう名前を付けることを推奨します。 -
Step 1と同様に、英語文献の規定に合わせて[Citations]の下の[Author Lists]と[Bibliography]の下の[Author Lists]をそれぞれ編集する。
-
[Bibliography]の [Author Name]を選択し、著者の名前をイニシャル化して出力するよう設定
※同欄でイニシャルの出力形式を設定可能です。 -
メニューバーの [File] → [Save] で上書き保存
※「2)」で [Save As] していない場合はこちらで [Save As] をおこなってください。
日本語用スタイルを上書き保存しないようご注意ください。
Step 4. 英語用アウトプットスタイルを適用した論文を作成
※Step 2 で事前に作成しておいたコピーのWordファイルを使用します。
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コピーしておいた Word ファイルのうちもう片方を開く
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Word上の[EndNote (Ver.)]メニュー内の”Style”欄にて、Step 3で作成したアウトプットスタイルを選択する。
※”Style”欄の選択肢に表示されない場合は[Select Another Style]を選択し、出現した画面から選択してください。 -
英語用アウトプットスタイルを適用した論文が完成します。この時点で日本語論文の出力が正しくない点は無視してください。
Step 5. 各Wordファイルからフィールドコードを削除する
【注意】
本操作を行うとスタイルを変更できなくなります。投稿直前などの最終段階に、現在のWordファイルを保存した上で操作を行ってください。
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日本語用アウトプットスタイルを適用したWordファイル、英語用アウトプットスタイルを適用したWordファイルそれぞれにて、Word上の[EndNote (Ver.)] メニュー内の[Convert Citations and Bibliography](Windowsの場合)/[Tools](Macの場合)から[Convert to Plain Text]を選択。
「本操作でEndNoteのフィールドコードを取り除いたファイルを作ります。また、オリジナルのファイルは維持されます。」という主旨の確認画面が表示されるので[OK]を選択。
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以上の操作でEndNoteの影響を受けなくなった日本語用・英語用Wordファイルがそれぞれ作成されます。それぞれ名前を付けて保存します。
Step 6. 2つのWordファイルを統合する
引用文献のうち、比率が高い言語のWordファイルをもとにすると、必要な操作数を抑えることができます。例えば、引用した文献数が [日本語文献 > 英語文献] であった場合、日本語のWordファイルに対し、英語用Wordファイルの内容をコピー&ペーストして統合します。下記では例として日本語用アウトプットスタイルを適用したWordファイルに、英語用アウトプットスタイルを適用したWordファイルの内容を統合します。
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「英語用Wordファイル」から「日本語用Wordファイル」に必要な箇所をコピー&ペースト。
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日本語と英語が混在する投稿規定に対応したWordファイルが完成。
例. 著者と著者を区切る記号は日本語の場合「・」を使用し、英語の場合「, 」を使用。著者を省略する際日本語の場合「他」を使用し、英語の場合「et al.」を使用。
注意:日本語著者の出力について
文献リスト上の日本語著者の出力について、EndNote は姓と名の間をつなげることができません。アウトプットスタイルをどのように設定しても半角スペースは必ず入ってしまいます。
フィールドコードを削除したWordファイルでは文献リストを自由に編集して構いませんので、必要に応じて手入力で修正してご対応ください。