XLSTAT によるSD 法チャートの作成:製品に対する評価パターンを可視化しよう

目次

SD 法とは?

SD 法(Semantic Differential Method)とは、ある対象物(製品やブランドなど)が持つイメージや印象を測定するための心理学的な手法です。「高級感がある⇔大衆的」「温かい⇔冷たい」といった対立する形容詞のペアを両端とする尺度(通常5〜7段階)を複数用意し、回答者にどのイメージが最も近いかを評価してもらいます。これにより、人々が対象に対して抱く感覚的・感情的な「意味合い(コノテーション)」を数値データとして捉えることができます。この手法は、マーケティングにおけるブランドイメージ調査、製品開発時のコンセプト評価、顧客満足度調査など、幅広い分野で活用されています。

SD 法で取得したデータのグラフ化

SD 法で得られたデータは、そのままでは単なる数値の羅列です。しかし、SD 法チャート(プロフィール・チャート) としてグラフ化することで、以下のようなメリットが生まれます。

  • 直感的な比較
    複数の製品や評価者グループのイメージプロファイルを一目で比較できます。

  • 傾向の発見
    評価者ごとの評価パターンの違いや共通点を簡単に見つけ出すことができます。

サンプルデータの説明

今回のチュートリアルでは、ある製品(りんごジュース)について、5人の専門家が評価したデータを使用します。評価項目には「香りがある⇔香りがない」「味がある⇔味がない」など、6つの対になる記述子を使用し、各項目を数値で評価しています。今回はこのデータをグラフ化し、5人の評価者間で、製品に対する評価パターンにどのような違いがあるかを可視化します。

サンプルデータのダウンロードはこちらから

Semantic-Differential-Chart-Data.xlsm

SD 法チャートの作成方法

  1. XLSTAT を起動し、 [データ可視化] >  [意味差 (SD)チャート] を選択します。

  2. ダイアログ画面で以下の設定を行います。

    • オブジェクト:評価者1〜5 のデータ範囲(見出しを含む )を選択します。
    • 記述項目:評価項目のデータ範囲(見出しを含む)を選択します。
    • 変数ラベル:データに見出しを含めたので、チェックを入れます。
  3. [OK] をクリックすると、別シート(意味チャート)にグラフが出力されます。

出力されたグラフの見方

生成されたグラフの左右には評価項目(記述子)が並んでおり、色分けされた各線が、各評価者の評価パターンを示しています。

このグラフから以下のようなことがわかります。

  • 線の形が似ている評価者は、感覚が近い
    グラフ全体で線の形が似ている評価者は、製品に対して似たような印象を持っていると言えます。今回のデータでは、それぞれかなり異なる意見を持っていることがわかります。

  • 線が大きく離れている箇所は、評価が分かれたポイント
    「味」と「コク」 の項目では、評価者3のスコアが突出して右側に寄っており、一方で評価者1や評価者4は左側に寄っており、評価が大きく分かれていることがわかります。

  • 個々の評価者の特徴
    評価者1は「甘み」をあまり感じていませんが、「コク」や「果実味」はほかの評価者よりも強く感じるなど、特徴的な評価をしています。

このように、SD 法チャートを作成することで、誰と誰の意見が近いのか、どの評価項目で意見が分かれたのかといった多角的な情報を、直感的に把握することができます。

まとめ

SD 法は、感覚的なイメージを定量的に捉えるための手法です。XLSTAT を活用することで、収集したデータをSD 法チャートとして素早く可視化し、複雑な評価データの中から直感的にインサイトを得ることが可能になります。製品開発の意思決定やマーケティング戦略の立案において、ぜひこの分析手法をご活用ください。

参考文献

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トライアルでは、最上位パッケージ XLSTAT Advanced に加え、3D Plot と LatentClass のオプションもご利用いただけます。本記事で紹介したSD 法チャートはすべてのライセンスでご利用いただけます。

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