XLSTAT によるコクランのQ検定:製品デザインの好みを比較しよう!


記事執筆:一般社団法人学術・教育総合支援機構 芥川 麻衣子、川﨑 洋平
一般社団法人学術・教育総合支援機構公式HP:https://iaae.jp/


目次

コクランのQ検定とは?

コクランのQ検定は、対応のある*3群以上の2値変数(0/1)においてデータの割合に差があるかどうかを調べるための検定手法です。例えば、ある製品のデザインが4種類ある場合、それぞれのデザインに対する消費者の好みを調査し、デザインによって好みが異なるかどうかを分析することができます。


*「対応のある(ない)」データとは?

「対応のある」データとは、同一の対象に対して異なる時点または異なる条件で測定されたデータを指します。

例)

  • 同一の被験者に対して、投薬前と投薬後の体重を測定する
  • 同一のウェブサイトに対して、異なる広告バナーを掲載し、クリック率を比較する

それに対して「対応のない」データとは、異なる対象から取得されたデータを指します。

例)

  • 異なる年齢層の男女を対象としたアンケート調査で、身長の平均を比較する
  • 異なる地域における店舗の売上データを比較する

なお、対応のある2値変数の割合を比較する場合、前後の比較のような2群の比較ではMcNemar’s test(マクネマー検定)が使用されますが、3群以上の比較では今回ご紹介するコクランのQ検定が使用可能です。


コクランのQ検定で使用するデータ

このページで使用するデータは、コンピューターゲームのパッケージデザインを4種類提示し、選好調査した27人分のデータです。デザインが好きな場合は”Yes”、嫌いな場合は”No” と入力されています。生産にあたり、4種類の中に優れたパッケージデザインがあるのか否かを知るために、検定を行います。

サンプルデータのダウンロードはこちらから

demo_Q_Cochran_EN.xls

コクランのQ検定の操作手順

  1. XLSTAT を起動し、[仮説を検定] > [ノンパラメトリック検定] > [CochranのQ検定] を選択します

  2. [被験者/処理表] の項目に検定の対象となるデータを指定します。データの選択は入力欄にカーソルを置き、その後でエクセル上のデータを直接指定することで可能です。今回はB列からE列を列名を含めて指定します。また、CochranのQ検定で有意差があり、デザイン間に差がある場合に、どの製品とどの製品に差があるかを調べるため [多重対比較] にチェックを入れます。

  3. [OK] をクリックすると計算が始まり、結果が別シート(CochranのQ検定)に出力されます。

コクランのQ検定の結果の解釈

最初に表とグラフで記述統計が示されます。

[CochranのQ検定 (漸近的なp値):] に検定結果が示されます。

コクランのQ検定の帰無仮説は、変数間に差がないということです。計算された確率が低い(p値が選択された有意水準より小さい)場合、帰無仮説は棄却され、変数の少なくとも2つの比率が互いに有意に異なると結論づけられます。今回の結果では、p値が0.027 であることから、有意水準を0.05 とした場合、「パッケージデザイン間に選好の差がある」つまり、4種類のパッケージの好みに統計的な有意差があることが分かります。

上記結果でパッケージデザイン間の好みに統計的な差があることはわかりましたが、4種類のうちどのデザインとの間に差があるのかまでは検定の結果だけでは判断できません。どのパッケージデザイン間で差があるのかを確認するためには、[多重対比較] の項目を参照します。

上記相対度数の項目は、No(今回は“嫌い”)を回答した割合が昇順(小→大)に並んでいます。言い換えると、Yes(今回は“好き”)が選ばれた割合が多い順に並んでいることになります。

次に、有意差の項目を見ると、パッケージ1とパッケージ3の交差するセルに”はい” と表示されています。

したがって、4種類のデザインの中で一番好まれているのはパッケージ3であり、パッケージ1とパッケージ3の人気には統計的に有意な差があることが分かります(ほかのパッケージには統計的な差は見られない)。

まとめ

コクランのQ検定は、3つ以上のグループ間でカテゴリー変数の割合に差があるかどうかを調べる統計分析手法です。XLSTAT を用いることで、コクランのQ検定を簡単に実行することができます。コクランのQ検定の結果を活用することで、マーケティングや製品開発などの分野において、効果的な製品やサービスの開発に役立てることができます。

記事執筆:一般社団法人学術・教育総合支援機構 芥川 麻衣子、川﨑 洋平
一般社団法人学術・教育総合支援機構公式HP:https://iaae.jp/

参考文献

  • Cochran's Q test in Excel tutorial
    https://help.xlstat.com/6456-cochrans-q-test-excel-tutorial
    ※ 本記事はこちらのチュートリアルページをもとに作成しています。記事内で紹介したサンプルデータもこちらからダウンロードすることができます。

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