Vol.84:アカデミックライティングとは?:学生へのアドバイス
学生やキャリアの浅い研究者は、学術的な文書と非学術的な一般の文書の執筆スタイルを明確に区別する必要があります。どちらのタイプもそれぞれのスタイル、構造、基本的なガイドラインがあり、ライターは内容や対象読者に応じて使い分けています。この2つのスタイルを混在させると、わかりづらく、明確さを欠くことになるため、その意味を理解することが非常に重要です。この記事では、一般的な文書と学術的な文書の違い、アカデミックライティングのニュアンスについて解説し、正式な学術的な執筆に取り組む学生やキャリアの浅い研究者が守るべき貴重なヒントを紹介します。
【目次】
アカデミックライティングの重要な特徴
アカデミックライティングとは、一般的に厳密な学問的慣習に縛られ、広範な調査と分析に基づいて論証を行う、正式な執筆スタイルと定義することができます。アカデミックライティングの主な目的は、特定の研究分野における新たな知識や洞察に貢献することです。アカデミックライティングには以下のような独特の特徴と目的があります。
- 形式的なアプローチと非個人的なトーンで書かれる
- 通常、三人称で書かれる
- 文章は論証と証拠で構成されている
- 学術的な出典を引用し、参考文献が充実している
- 証拠に基づいている
- よく練られた明白な研究課題に焦点が当てられている
- 言葉が適切に選択されている
- 使用される用語は学術的で専門分野特有のものである
- 通常、学術的な読者を対象としている
つまり、アカデミックライティングは非公式の個人的な内容だったり、感情に訴えかけたりするために使われるものではない、ということです。
学術的な文書の種類
アカデミックライティングを必要とする学術的な文書には、さまざまな種類とカテゴリーがあります。主なものをいくつか紹介します。
エッセイ
講師から提示されたトピックや質問について、学生は、適切に引用され、研究された分析と解釈を共有する証拠を裏付ける中心的なアイデアで構成された、短く焦点を絞った文章を書くことが期待されます。場合によっては、学生が選んだトピックについてエッセイを書くことも許可されます。
研究論文
エッセイとは異なり、研究論文はより詳細で学術的であり、独自のリサーチに基づいています。トピックに関する知識を実証し、厳密な分析を実施し、さまざまな情報源を扱う強さを示す必要があります。研究や調査は、特定の分野における既存の知識体系に独自の貢献ができるものでなければなりません。つまり、研究が新しい視点、新しい方法、新しいデータなど、その分野に何か新しいものを加えるものでなければならないということです。他の人が言ったことをまとめるだけでは不十分で、何か新しいものを持ち込む必要があります。
文献レビュー
文献レビューは、特定のトピックについて発表された文献を包括的かつ批判的にレビューするものです。その分野における現在の知識を概観し、自身の研究をより大きな知識体系の中に位置づけるのに役立ちます。文献レビューは、トピックについて他人が述べたことを単に要約したものではなく、既存文献のギャップを特定し、研究の背景を提供する重要な分析です。これは自身がその分野の研究の現状に精通しており、研究がその知識の上に成り立っていることを示すものであり、アカデミックライディングには欠かせないものです。
実験レポート
実験レポートは、科学実験の目的、方法、結果、結論を伝えるものです。通常、科学、技術、工学、数学の分野で使用されます。
学術文書の執筆を始める学生がすべきこと、してはいけないこと
すべきこと
- 実践的なアカデミックライティングのスキルを身につけるには、明確に書く習慣をつけることに集中しましょう。研究の計画を立て、アウトラインを作成し、考えを整理し、時間管理に十分な時間をかけましょう。
- 所属する大学や学問分野特有のガイドラインに応じて、MLA、APA、Chicago Manual of Styleなどのスタイルマニュアルを1つ選ぶ権限があります。この選択はあなた次第であり、選択したスタイルを一貫して使用することが重要です。各マニュアルには、番号、脚注または文末脚注、引用、参考文献の書き方に関する独自のルールがあります。明確で効果的な文章を書くためには、言葉の選択が不可欠です。簡潔にして、紛らわしい表現は避けるようにしましょう。
- 専門分野特有の用語の使用は不可欠ですが、適切かつ正確に使用するようにしましょう。
- 読者がすぐに理解できるように、情報を論理的かつ端的に示して、文章をうまく構成します。章やセクションに分割されていることを確認してください。各段落が中心的な論点やアイデアを提示し、段落間に明確なつながりがあるように構成しましょう。研究論文の核となる論旨は、文章全体を通して貫かれていなければなりません。
- 出典の引用:学術的な慣例に従い、本文中で使用した他の研究からの引用文、データ、調査結果、主張を正確に引用しましょう。
- 提出前には必ず校正と編集を行いましょう。
してはいけないこと
- 前述したように、アカデミックライティングは形式的なトーンで書かれます。したがって、会話文や方言、スラングの使用は避けるべきです。
- 複雑な専門用語の多用は避けましょう。
- 読者を混乱させるような曖昧な用語や文言は使うべきではありません。
- 適切な引用スタイルに従い、剽窃を避けましょう。
学術的な文書では、形式的なアプローチ、非個人的なトーン、そしてきちんと練られた研究課題を裏付けるための証拠に基づく論証が求められます。アカデミックライティングは、その特徴、構造、目的から、独特なタイプのライティングです。優れた執筆のためには、ニュアンスを理解し、一般的なライティングと区別する必要があります。また、文章をうまく構成し、適切な用語を使い、学術的な慣習に従う必要もあります。これらのヒントに従うことで、学生は透明性があり、簡潔で、十分に参照された学術論文を作成し、各分野における新たな知識や洞察に貢献することができます。