エディテージ x ユサコの論文執筆ヒント集

Vol.66:編集者の意思決定:原稿に起こりうる結果とは?

原稿をジャーナルに投稿すると、まず、最初の選抜(スクリーニング)が行われます。その中には、ジャーナル・エディターや編集委員会による予備的レビューも含まれています。この段階でエディターは、以下の結果のうちいずれか1つを選ばなければなりません。

1.レビューせず戻す

その原稿がジャーナルの扱う範囲に合っていない、あるいはジャーナルの基本的水準や期待を満たしていないことに気づいたら、エディターは最初の選抜(スクリーニング)の後、論文を査読に回さずに著者へ戻すかもしれません。

あまりにも文法や構文に誤りが多い場合は、この段階での不採択決定もありえます;これについては、 英語を第二言語とする著者は(特に)気をつけなければなりません。けれども、査読せずに戻す理由について通常、著者に伝えてくれるのは良いことです。

言語面で大きな問題がある場合は、同じジャーナル、あるいは別のジャーナルに投稿する前に、専門家に論文を校閲してもらうとよいでしょう。


2.別のジャーナルに移すことを勧める

エディターはその原稿が特定のジャーナルに合っていないと感じ、同じ出版社の別のジャーナルに移したらどうかと勧めるかもしれません。通常は、文書の移動は出版社内で、著者の承認を得た後でのみ行われます。

時には、出版社外のジャーナルへの投稿を勧めるエディターもいるかもしれません。その場合は、投稿プロセスを進めるのは全面的に著者に任されることになります。


3.原稿を査読に回す

最初の選抜(スクリーニング)が終わり、その原稿がジャーナルの範囲に合致し、基本的な水準も満たしていると思ったら、エディターは原稿を査読に回します。原稿のコピーを2~3名の査読者に送るのが普通です。


原稿が査読に回されると、査読者からそれに対するコメントや勧告が届きます。こうしたレビューにもとづき、エディターが最終決定を下すのです。

査読者からのコメントはエディターにとって非常に価値がありますが、それらはあくまで勧告であって、最終決定ではありません。原稿についての最終決定を行う責任は、エディターにあります。ですから、(1)たとえすべての査読者が否定的なコメントをしていても、エディターが論文の信頼性について確信していれば、論文を採択しますが、(2)査読者が肯定的なコメントをしているにもかかわらず、エディターが掲載の価値を見出せなかった場合には論文を不採択にする、ということもあるかもしれません。


査読がすんだ原稿に対して、エディターは以下の選択肢のうちいずれか1つに決定します。


1.このままの形で採択

これはつまり、変更の必要はなく、論文をそのままの形で掲載するということです。この決定がなされる論文は極めてまれです。


2.若干の修正がなされれば採択

条件付採択(conditional acceptance)とも言われているように、この決定は、採択されるには若干の変更が必要ということです。これもまた、どちらかと言えばまれなケースです。

この決定がされた論文は、2度目の査読に回されません;通常、エディターが修正されたところを調べ、最終的な承認を与えます。ただし、「若干の修正がなされれば採択」に決定したからといって採択が保証されているわけでない、ということはおぼえておきましょう。論文が採択されるのは、エディターが修正に満足した場合だけです。


3.修正再審査

エディターがこの決定を行うのは、原稿を採択するためには相当の改善が必要である場合です。著者は、修正した論文に査読コメントに対し逐一答えた回答を添付して投稿しなければなりません。

修正された原稿は、2回目の査読に回されることが多いです。通常は1回目と同じ査読者たちに送られますが、エディターが別の査読者たちに送るという選択を行うかもしれません。

いくつかのジャーナルで言及されているように、2回目の査読、つまり「再査読」の結果は、査読者やエディターのコメントに対し著者がいかにうまく対応しているかによります。著者が、すべてのコメントに対し満足のいく対応ができない場合は、さらなる修正が要求されるかもしれませんし、ひょっとすると最悪の場合、論文が不採択になってしまうかもしれません。


4.修正再投稿

時には原稿が不採択にされるかもしれませんが、ひょっとすると、修正して新たな投稿として再投稿すれば原稿を検討したい、とエディターが思う可能性があります。もし著者がこの方向で進めていきたいと思えば、査読者とエディターのコメントにもとづき、かなりの部分を修正し、新たな投稿として同じジャーナルに投稿しなければなりません。

最初の投稿時のidを明記し、査読コメントに対しどのように対応しているか説明した手紙を投稿にあたり添付する必要があります。修正論文と手紙はエディターがレビューし、必要があれば新たな査読に回します。


5.不採択

これは完全な不採択の決定のことです。多くの場合、ジャーナルはその論文を掲載しませんし、著者が大幅な修正を行ったとしても再検討されることはありません。


実際のところ、ジャーナルの意思決定プロセスは時間がかかり複雑です。著者も、プロセスの中の各段階について常にわかっているわけではありません。ジャーナルが違えばシステムも違い、使っている用語も若干違うかもしれませんが、上で述べた決定(の選択肢)は、どんなジャーナルであってもだいたい共通しています。

ほかに質問や心配なことがありましたら、ジャーナルの意思決定プロセスについて、よくある質問の記事が役に立つかもしれません。質問がある場合は、Dr. EDDYに聞いてみることもできます。出版のエキスパートによるエディー博士のチームは、間違いなくあなたを助けてくれるでしょう。

 
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