エディテージ x ユサコの論文執筆ヒント集

Vol.27:論文をよりスッキリと簡潔にする10の秘訣

英語を母国語としない著者の多くは、論文を簡潔に書くことはとても難しいと感じているはずです。なぜなら、長いフレーズにかわる適切な言葉を探し出すことが難しいからです。

実際に文字数制限に沿った論文に仕上げることは、ネイティブの英語話者にとっても同様に難しいのです。たいてい論文では説明するべきことが多数あり、それを常に簡潔に述べるということを覚えておかなければいけません。

まず、ジャーナルに必要な文字数をしっかりと把握しておくことがベストです。そして、論文のドラフト作成時にはなるべく簡潔に書くことが大切。はじめのドラフトを書き終えた後、「より簡潔にできる言葉」と「もっと短縮できる文章」のこの2つを突きとめるため、批判的に自分の論文に目を通すことが大切です。今回は、文章を簡潔するための10の方法をご紹介します。


  1. 「~に関する先行研究があるが~(there is a previous study on)」や、「~と報告されてきたように(it has been reported that)」などのような類似したフレーズから始まる文章には気をつけましょう。たいていこのようなフレーズは参考文献の引用に関連した文章なので、この場合、引用部分だけを残すべきです。

    ◇例文
    オリジナル:
    It has been reported that the incidence of Alzheimer's disease increases with age (Rogue et al., 2004). (17 語)
    修正版:
    It has been reported that The incidence of Alzheimer's disease increases with age (Rogue et al., 2004). (12語)

  2. 商品名を掲載する場合、括弧内に商品名を置き換えることで短縮可能です。

    ◇例文
    オリジナル:
    The samples were analyzed on the ABC spectrophotometer (Zhejiang Scientific, Zhejiang, China) to determine the xyz values. (17語)
    修正版:
    The samples were analyzed on the ABC spectrophotometer to determine the xyz values (ABC spectrometer; Zhejiang Scientific, Zhejiang, China). (15語)

  3. 名詞化、つまり動詞の変わりに名詞を使用することが、言葉数の多さの大きな一因となるので、気をつけましょう。下記の例では、名詞の"diagnosis"の代わりに動詞の"diagnosed"を使うことで、文章を短縮しています。

    ◇例文
    オリジナル:
    A diagnosis of cancer was made on the basis of the findings.  (12語)
    修正版:
    A diagnosis of Cancer was diagnosed made on the basis of the findings.  (9語)

  4. 研究結果の段落において、グループの単一値と統計的有意性の値への提示を避けましょう。そのかわり、括弧内にその値を置きます。

    ◇例文
    オリジナル:
    The protein level was 5 mg in Group A, while it was 3 mg in Group B, the difference being statistically significant (p < 0.05). (25語)
    修正版:
    The difference in the protein level was 5 mg in between Ggroups A and B, while it was 3 mg in Group b, the difference being statistically was significant (5 mg vs. 3 mg, p < 0.05). (21語)

  5. 対象のオーディエンスにとってわかりきった基礎的な情報を含む文章を削除することができるかどうかをチェックしましょう。著者は特に最初の序論と議論において、このような情報を付け加える傾向にあります。コンテクストを確立することが重要なので、わかりきった情報をオーディエンスに提供することは、少々見下している印象を与えるかもしれません。

    たとえば、エイズ研究についての論文を書いているとき、「エイズは人生を脅かす病気」といったような発言を序論に書き記すことは避けるべきです。

  6. 言葉数の少ないものに置き換え可能な典型的な言葉数の多いフレーズには注意しましょう。以下は、一般的な例です。

    ◇例文
    A number of → several
    As a result → therefore
    On the other hand → whereas
    As a consequence of → owing to

  7. 「省略構文」を使って文章を削除するため、度重なる動詞の使用は避けましょう。

    ◇例文
    オリジナル:
    Group A was given cyclosporine, Group B was given FK506, and Group C was given chlorambucil. (16語)
    修正版:
    Group A was given cyclosporine; Group B, was given FK506; and Group C, was given chlorambucil. (12語)

  8. マイクロソフト・オフィスのような文書作成ソフトの多くは、ハイフンで連結された言葉を1つの言葉として捉えるので、可能なときはいつでもハイフンで連結された言葉を選択しましょう。
    ◇例文
    オリジナル:
    After rehabilitation, the patients came to rely on themselves. (9語)
    修正版:
    After rehabilitation, the patients became self-reliantto rely on themselves.(6語)

  9. 受動態よりも能動態を用いることで、文字数を減らすことができます。
    ◇例文
    オリジナル:
    Written informed consent was given by all patients. (8語)
    修正版:
    All patients gave Wwritten informed consent was given by all patients. (6語)

  10. ”of”を使用した所有格の構造形式を避ける。

    ◇例文
    オリジナル:
    Patients of Group 1 were followed up for 6 months, and those of Group 2, for 12 months. (18語)
    修正版:
    Patients of Group 1 patients were followed up for 6 months, while and those of Group 2 patients were followed up, for 12 months. (15語)

まとめ

今回ご紹介した論文を簡潔にするための10個の方法は、コンテンツそのものを変えることなく、あなたの原稿のボリュームを調整する上できっとお役立ちいただけるはずです。

しかし、文字数の調整は決して簡単なことではなく、簡潔化ができそうなすべての箇所を特定するために、全体の原稿を読み通すことが必要となります。常に自分のコンテンツを見直し、どの部分が削除されるべきかについて考えてみましょう。

 
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