エディテージ x ユサコの論文執筆ヒント集

Vol.3:英語の類義語の使い分け出来ていますか?

英語は非常に語彙が豊富です。類義語の違いを深く理解しないまま使うことで、自身の研究成果が査読者に正確に伝わらず、誤解を招く場合があります。今回は、よく使われる類義語の使い分け方を見ていきましょう。


”Show”、”Reveal”、”Indicate”の違いは?

研究論文では、"The data reveal that"、"Table 1 shows that" 、“Figure 2 indicates that”といった表現が非常によく見られます。こうした表現は通常、ソース(data、a table、a figure等)と、ソースが裏付けている文と関連付けるために使われていますが、3つの動詞は類義語ではなく、微妙に意味が違います。


【Show】
"Show" は3つの中で一番明解な表現でしょう。"Table 1 shows that of the six months, December was the coldest."のように、その文(ステートメント)がソースから得られることが『明らかな場合』に”Show”を使います。ソースを少し見ただけで、十分その文が正しいことが分かる場合です。


【Reveal】
それに対し"Reveal"には、結論が『自明ではなく、読者側の思考が若干必要』だという場合に使われます。書き手の側でも同様です。Oxford Dictionary of English の定義によれば、"Reveal" は、(以前には知られていなかった、もしくは秘密だった情報を)他者に分かるようにするとのことです。


-ポイント-
データについて何らかの分析・解釈を行って結論に達したことを伝える場合に、"Reveal" を使いましょう。


【Indicate】

また、"Indicate" は"Show"によく似ていますが、不明確な状況を表現します。データには何か疑わしさを感じさせるものがありますが、著者にも確信が持てなく『断言を避けたい場合』に"Indicate"を使います。


-ポイント-

あまりに頻繁に"Indicate" を使うと、研究による発見の正確さが疑われますので、気を付けましょう。


"About"、"Around"、"Approximately"の違いは?

科学は測定と計算が全てです。与えられた図(量)が正確な値か、四捨五入されているかを示す表現は、全ての科学的文章で共通しています。良く使われる幾つかの表現には、多少の違いがあり、それを考慮に入れて学術的な文章の執筆に取りかかりましょう。


【AboutとApproximately】

“About”は5か10の倍数に丸められた数値で使われることが多いです。そのため、次のような文章での”About”の使われ方には違和感があります。

"Each plot contained about 17 trees."

上の文を書いた人は、数字が正確ではないことを強調したいと思っていながら、四捨五入されていない数値に対して”About”を使っています。このような場合により適しているのは、”About”よりも、『その数値への近さを強調』する”Approximately”でしょう。もちろん、小数点の細かい数値を利用する場合は、“Approximately”が適します。


【AboutとAround】

“About”と”Around”の違いはもっと簡単で、大まかに言うと、好みの問題です。 “About” はイギリス英語でよく使われ、“Around” はアメリカ英語でよく使われます(Pocket Fowler's Modern English Usage, p. 8)。


まとめ

英語で文章を上手に書くためには、単語をどれだけ知っているかではなく、単語をよく知り、正しく使うことが大切です。 “Use the Right Word: Modern Guide to Synonyms and Related Words”や“The Merriam-Webster Pocket Dictionary of Synonyms”等の英英辞典を購入し、類語グループ間の違いを明らかにすることで、英語論文の精度を高めましょう!

 
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