Vol.2:論文を投稿するジャーナルの選び方とは？

ジャーナルの選択は、正しい読者層に研究成果を伝えられる査読付きジャーナルを選ぶことが重要です。ジャーナルの論文掲載実績が、研究者のキャリア形成、職業上の評判、研究費の獲得に影響を与えることは言うまでもありません。

査読付きジャーナルを選択する上で、重要となる基準を見ていきましょう。

論文のテーマが、ターゲットとするジャーナルのテーマと合っているか、正確に判断することが重要です。

-アドバイス-
ジャーナルの基本方針に目を通し、最近掲載された論文のタイトルとアブストラクトを読み、ジャーナルが注力するトピックを絞り込みましょう。また、論文のタイプが、ジャーナルで募集中か確認することも重要です。論文が事例報告の場合、事例報告が掲載されているかチェックしましょう。

読者層、ターゲット層を見極めるには次の点をチェックしましょう。

【学際的ジャーナル】
公共政策に関する論文など横断的な領域を取り扱う論文の場合、専門家以外の広範な読者層を抱えるジャーナルを選びましょう。

【専門誌】
専門性の高い論文の場合は、刊行規模が小さいジャーナルであっても、相応しい専門性を持つ読者層のジャーナルを選びましょう。広い層に読まれるよりも、内容を理解できる読者が読む方が重要であることもあります。

-アドバイス-
数冊のジャーナルに目を通し、掲載論文の著者の国籍を確認しましょう。執筆者が米国に集中するジャーナルよりも、様々な国から集まるジャーナルの方が、論文掲載の可能性が高まります。

論文が掲載されたら、できるだけ多くの研究者に自身の論文を読んでもらわなければなりません。ジャーナルの知名度が、論文閲覧数の増加に重要な役割を果たします。投稿するジャーナルは、よく使うデータベースに収録されていますか？

例えばトムソン・ロイターのWeb of Science の索引対象誌になっていますか？　ジャーナルがデータベースに索引されていると、閲覧数も伸び、研究の露出度は上がり、論文の被引用数も増えます。

-アドバイス-
日頃検索するデータベースを使い、キーワード検索を行いましょう。検索結果の一番上位に、あなたが投稿するジャーナルが出てきますか？

投稿ジャーナルを選択する際、ジャーナルの権威も検討する研究者もいます。ジャーナルの権威を判断する上で、考慮すべき点を見ていきましょう。

【編集委員会の委員】
権威あるジャーナル編集委員には、たいてい著名な研究者が選ばれています。投稿しようとしているジャーナル編集委員にご自身の研究分野で著名な研究者が含まれているか、ジャーナルのウェブサイトを見て確認しましょう。

【ジャーナルのスポンサー】
その分野で有名な学会が運営・後援していますか？

【ジャーナルのインパクト・ファクター】
インパクト・ファクターの値は、分野によって大きく異なります。自身の研究分野に関連するジャーナルのインパクト・ファクターを比較してみましょう。

【ベテラン研究者が愛読するジャーナル】
ベテラン研究者が日頃読んでいるのはどのジャーナルですか？　レベルの高い論文が掲載されているジャーナルなど、意見を聞いて参考にしましょう。

-アドバイス-
一流のジャーナルの論文の不採択率は約90％、平均的なジャーナルの場合は約50％です。論文掲載の可能性が高くなると考え、低めの層のジャーナルに投稿する研究者は多くいます。しかしながら、このようなジャーナルも投稿数の増加に伴い、不採択率が上がる傾向があります。

【査読期間】
投稿しようとするジャーナルは、1年間に何号発行されていますか？　月刊のジャーナルは、季刊のジャーナルと比べると、スピーディーに査読してもらえる可能性が高まります。ジャーナルが投稿日と採択日を掲載している場合、大体の返答時間が分かります。

【掲載までの期間】
直ぐに論文を発表したい場合は、簡略的なピアレビューで多くの論文を刊行するオープアクセス・メガジャーナルが最善の選択かもしれません。

-アドバイス-
オンライン投稿システムがあるジャーナルは、郵送方式と比較して、返答が早いです。自分と同分野の研究者に、ジャーナルでの投稿経験を質問してみましょう。

投稿するジャーナルを選択する上で重要な点をおさらいしましょう。

慎重に論文を投稿するジャーナルを選ぶことで、不採択になる可能性を大幅に減少させることが可能です。投稿するジャーナルを決定したら、投稿規程を読み、論文のフォーマット、語数、引用スタイル、写真の規程、掲載費用など、ジャーナルが課す制約を確認してみましょう。

エディテージ x ユサコの論文執筆ヒント集