フレームワーク行列とはNVivo のプロジェクト内で整理したデータを一覧にしてまとめる機能です。例えば、行に回答者のケースを指定し、列にコードを指定すると、あるテーマ・概念について、誰が何を語っているのかという情報を簡単にまとめることが可能です。
※フレームワーク行列はWindows版のみの機能です。Mac版ではご利用いただけません。
そのほかフレームワーク行列を利用することで、以下のようなことが簡単にできます。
- 表の列(コード)を上から下へ見ていくことで、あるテーマに関する情報を確認する
- 表の行(ケース)を横に見ることで、特定の人物について異なるテーマがどのように関連しているかを確認する
- ある行と別の行を比較することで、異なる個人の経験を比較する
- 論文レビューで異なる論文が同じコードについて、どう言及しているか比較できる
今回ご紹介する操作を行うには、事前に回答者ごとにケースを作成し、発言内容をコードで整理しておく必要があります。順を追って操作手順をご紹介します。
- フレームワーク行列の作成手順
- フレームワーク行列の画面説明
- 関連ビューでの操作
- サマリリンクの作成
- フレームワーク行列をエクセル形式で出力する
- フレームワーク行列の注意点
- 行列コーディングクエリ・クロス集計との違いについて
フレームワーク行列の作成手順
メニューの [作成] から [フレームワーク行列] を選択。
[新規フレームワーク行列] の画面が表示されたら、フレームワーク行列の [名前] を入力([説明] は任意に入力してください)。
[行] タブに切り替え、左下の [選択] ボタンから回答者のケースを選択。
[行ヘッダー属性] の [選択] ボタンをクリックし、表示する属性を選択。
→ 選択した [属性] 情報に基づいて、フレームワーク行列がソートされます。
[列] タブに切り替え、[選択] ボタンをクリックし、コードを選択。
[OK] ボタンをクリック。
→ フレームワーク行列が表示されます。この時点ではまだ行列内にデータは入っていません。
メニューの [フレームワーク行列] から [自動サマリ作成] を選択。
※メニューに [フレームワーク行列] が表示されない場合は、フレームワーク行列内のセルをどれか1つクリックして選択してください。
コーディングに基づいた情報で行列内にテキストが入力されます。ケースとコードの交点に要約が作成されていない場合、空白になります。
フレームワーク行列の結果を全画面で確認したい場合は、フレームワーク行列の名前部分を右クリックし、[ドック解除] を選択します。
※ドック解除した場合は [関連ビュー] は表示されません。
作成したフレームワーク行列は、[ノート] の [フレームワーク行列] に保存されます。 閉じたあとに再度内容を確認したい場合は、上記フォルダにあるフレームワーク行列をダブルクリックしてください。
フレームワーク行列の画面説明
以下の例では、ボランティア活動についてインタビューした4人の回答をフレームワーク行列でまとめています。
①行
各行は、ケースを表します。この例では、ケースは人です。行のヘッダーには、ケースの属性を表示することができます。この例では、行のヘッダーに、インタビューした人の年齢が表示されています。
②列
各列はコードを表します。
③関連ビュー
デフォルトでは、行(ケース)にコーディングされたコンテンツを表示します。この例では、関連ビューにAnnaのインタビューのトランスクリプトが表示されています。関連ビューに表示する内容は変更できます。
④セル
各セルは、ケースとコードの交点です。例えば、行列の最初のセルには、ボランティア活動の経験についてAnnaが語ったことの要約が含まれています。
関連ビューでの操作
フレームワーク行列右側の関連ビューにはコーディング内容が表示されます。
関連ビューに表示するコンテンツを変更
関連ビューに表示するコンテンツを変更する場合は、メニューの [フレームワーク行列] から [関連ビュー] をクリックし、コンテンツ内容を選択します。デフォルトでは「行コーディング」でコンテンツが表示されています。
行コーディング
関連ビュー内の行(ケース)でコーディングされている内容を表示します。
セルコーディング
関連ビュー内の行(ケース)と列(コード)でコーディングされている内容を表示します。
サマリリンク
現在の行列セル内のテキストにリンクされているコンテンツのみを表示します。
関連ビューが空欄の場合は、行(ケース)にコーディングされたコンテンツがあるかどうかを確認してください。「セルコーディング」の表示を選択した場合、列(コード)にコーディングされたコンテンツがないと、関連ビューは空欄になります。「サマリリンク」の表示を選択した場合、選択しているセル内にリンクされたコンテンツがないと、関連ビューは空欄になります。
コーディングコンテクストの変更
関連ビューに表示するコンテンツの範囲を変更する場合は、まず関連ビュー内のリファレンスを選択します。
その後にメニューの [フレームワーク行列] から [関連ビュー] をクリックし、コーディングコンテクストを選択します。
以下の例ではコーディングコンテクストで [カスタム] を選択し、前後15文字を指定して、レファレンスを表示しています。
サマリリンクの作成
サマリリンクを利用すると、フレームワーク行列内のセルに入力されたテキストと関連ビュー内のコンテンツをリンクさせることができます。要約を作成後、サマリリンクで元のコンテンツとリンクさせておくことで、あとで元データを簡単に参照することができます。
関連ビュー内で要約したいコンテンツ部分を選択。
セル内に要約を作成し、選択。
メニューの [フレームワーク行列] から [新規サマリリンク] を選択。 もしくはセル内の選択した箇所で右クリックし、[新規サマリリンク] を選択。
リンクが作成されると、該当箇所がそれぞれハイライト表示されます。
メニューの[フレームワーク行列] から [関連ビュー] をクリックし、[サマリリンク] を選択すると、サマリリンクが作成されたコンテンツのみが関連ビューに表示されます。
サマリリンクを削除したい場合は、セル内のテキストを右クリックし、[サマリリンクを削除] を選択します。
フレームワーク行列をエクセル形式で出力する
フレームワーク行列はエクセル形式(xlsx)で出力することができます。
メニューの [共有] から [エクスポート] →[エクスポート] を選択
※[エクスポート] を選択できない場合は、フレームワーク行列内のヘッダー部分(以下の例であれば「A: Economy」の部分)をクリックして、選択してください。
フレームワーク行列の注意点
フレームワーク行列内のデータはコーディングと連動していないため、自動サマリ機能で情報を埋めた後で、新たにコーディングを行ったとしても、そのコーディング内容はセル内に反映されません。また、[自動サマリ作成] を再度実行すると同じ内容が重複して追加されてしまうので、ご注意ください。もしフレームワーク行列作成後、新たにコーディングをした場合は、手動でセル内の情報を編集するか、再度新規でフレームワーク行列を作成してください。
行列コーディングクエリ・クロス集計との違いについて
NVivo には似たような機能として、行列コーディングクエリ(マトリックスコーディングクエリ)とクロス集計があります。今回ご紹介したフレームワーク行列と同様に行と列にプロジェクト内のアイテムを指定する操作は同じですが、行列コーディングクエリとクロス集計の結果がコーディング数を示すのに対して、フレームワーク行列ではその内容をセル内に表示します。
参照ページ:Framework matrices
https://help-nv.qsrinternational.com/20/win/Content/notes/framework-matrices.htm