質的コーディングの技術を高める

著者 Philip Adu

フィリップ・アデュ博士は、専門心理学シカゴスクール (TCSPP)内の全米学術論文エクセレンスセンターにおける方法論エキスパートです。この投稿で、自身が非常に有益だと思った機能を紹介しながら、質的コーディングの各ステージを解説しています。


質的コーディングの技術を高める

インタビュー原稿を分析することについて考えてみてください。データから重要な情報をとらえ、それを(NVivoの)コードと呼ばれる「コンテナ」の中に入れます。作成された各コードにラベルを付け、それぞれについて簡単な説明を与え、あなたの考えを記録してみてはいかがでしょうか。

そして、コンテンツの類似性や関係性に基づいて、親コードと呼ばれる「大きなコンテナ」の中へコードを分類します。最後に、親コード、つまり浮かびがってきたテーマを用いてリサーチ・クエスチョンに対する答えを導きだします。以下の図は質的研究の大まかな流れを示しています。

NVivoのような使いやすい質的分析ソフトウェアを使用して、これらすべてをおこなうことを想像してみましょう。これには、複数データに取り組み、クエリを実行し、データの重要部分をコーディングし、コードに対して記述とメモ(考え)を加え、結果をよりわかりやすく視覚的に表現し、NVivo内の「マップ」機能を使ってアイデアを引き出すことが含まれています。

コーディング作業者の所見(テーマ、モデル、理論など)には、データのみでなく個人の主観的な意図や思考、プロセス、背景や経験などが反映されます。信頼性を確保するため、作業者のコーディングプロセスには透明性が求められます。透明性を維持し、効果的にNVivoを使用してレベルやコードの一貫性を保ち、視覚的な表現と共に意義のある調査結果にたどり着くまでには、主に3つの質的データ分析ステージがあります。


1.プレコーディング・ステージ (データを理解する)

私は常にすべてのデータを確認して慣れ親しんでから、コーディングプロセスを始めます。例えば(NVivo内の)「クエリ」コマンドは優れたツールであり、発言者が使用している単語の種類や使用頻度が分かります。「頻出語クエリ」の結果は「単語クラウド」として示され、単語の使用回数がさまざまなフォントで表示されます。

さらに特定の単語やフレーズを、参加者が回答の中でどのように使用しているか知りたくなることがあります。その時は「テキスト検索クエリ」を使って「ワードツリー」を作成します。「ワードツリー」は検索された単語の前後に使用された単語やフレーズを表示します。これにより、その単語が使用された文脈が分かります。


2. コーディング・ステージ(コードにラベルを割り当てる)

コーディングの際、コードの一貫性は極めて重要です。これにより、コード間の関係が簡単に分かるようになり、それらの間に潜在しているアイデアや意味が理解できることもあります

それでは、コードの一貫性を保つにはどうしたらよいのでしょうか。ひとつの戦略は、研究課題と一致する特定のコーディング方法を選択し、コードに対してラベルを作成することです(Saldana, 2013)。


3. ポスト・コーディングステージ (結果を発表する)

質的分析をおこなう主な目的は、リサーチ・クエスチョンに答えるためのテーマを作り出すことです(Adu, 2013)。

テーマが考え出されたら、次のステップは調査結果の発表ことです。

聴衆に対してどのように調査結果を提示するかは、結果の信頼性に影響を及ぼします。信頼性を確保するために、研究者は各テーマをそれぞれの意味とデータから得た根拠と共に提示すべきです。テーマとそれぞれの関係性や関連するアイデアを視覚的に示すことにより、聴衆は調査結果をさらに深く理解できます(Saldana, 2013)。

NVivoの「探索」機能は、例えばプロジェクトマップ、コンセプトマップ、チャート、クラスターツリーなどを作成できるすぐれたツールです。

結論として、データ分析は非常に集約的なプロセスであり、質的研究者は注意深く体系的にデータからテーマを抽出して研究課題に取り組みます。信頼できる調査結果を得るために、コーディング作業者はプロセスを広範囲にわたって記録し、どのように調査結果に到達したのかを明確に説明する必要があります。

NVivoは優れた質的分析ソフトウェアであり、データのコーディング、データ分析プロセスの記録、結果の視覚化を通じて信頼性を高めます。


動画で確認する

Conducting Qualitative Analysis Using NVivo 11 (Part1) と、 Conducting Qualitative Analysis Using NVivo 11 (Part2)をご覧いただければ、NVivoによる質的データ分析について詳しく知ることができます。



著者 Philip Aduについて
Philip Adu
Philip Adu

フィリップ・アデュ(Philip Adu)博士は、専門心理学シカゴスクール(TCSPP)内の全米学術論文エクセレンスセンター(NCADE)における方法論エキスパートです。彼の役割は、方法論に関心を持って取り組んでいるTCSPP の学生の博士論文執筆をサポートすることです。NCADEのYouTube チャンネルで、彼のオンラインセミナーが視聴可能です。彼の主な研究領域は学習、教育設計とテクノロジーについてで、ウエストバージニア大学(WVU)から教育学博士号を修得しました。彼は最近、共著者として“Surviving in a class with the “most difficult of professors”: A result-oriented approach in dealing with any college course”というタイトルの本を出版しました(Amazonで購入できます)。アデュ博士にはpadu@thechicagoschool.edu、もしくはTwitterの @drphilipadu で連絡できます。

元記事 | Perfecting the art of qualitative coding | The NVivo blog

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